サステナビリティ
持続可能な山林経営

持続可能な山林経営

森林資源の維持・保全による地球環境問題への貢献

沿革と目的

当社は1906年(明治39年)、当時の製品生産に必要なタンニンの原材料となる槲(かしわ)の木を求めて、北海道・十勝地方に広大な森林を取得しました。以後、その豊かな資源を有効活用する一方で、成長の早いカラマツを植林するなど、当時から積極的に森林の維持・保全に努めました。
現在も約6,700ヘクタールに及ぶ森林を保有し、木材の供給をはじめ、植林用苗木の提供、植林、間伐など、地球にとって大切な資源である森林の整備を、継続的かつ積極的に展開しています。

森林の管理方針の制定とSGEC認証の取得

森林は、木材という天然資源を生むだけでなく、二酸化炭素の吸収・貯蔵による地球環境の保護や、生物多様性の保全など、様々な公益的機能を有しています。
当社は、社有林を今後も継続的に維持・保全していくことが当社の重要な社会的責任であると考え、「管理方針」を定め、また森林認証制度である*SGECの認証基準・ガイドライン に基づいた管理を行いながら、国連が定めるSDGs目標の1つ、「 陸の豊かさも守ろう」に貢献すべく、取り組みを推進しています。
* SGEC とは:Sustainable Green Ecosystem Councilの略で森林認証制度の1つ。世界的な森林減少・劣化の問題と、グリーンコンシューマリズムの高まりを背景に日本の森林管理レベルを向上させることを目的に誕生した認証制度で、『緑の循環』認証会議が運用主体となっています。また、SGECは2016年6月3日に、国際認証であるPEFCとの相互認証が認められています。

社有林管理方針

ニッタグループ( 以下、「当社グループ」とします。)は、「北海道森林づくり条例」並びに「北海道森林づくり基本計画」を踏まえ、将来を見据えた「森林経営計画」を策定、運営することを通じて、森林の有する多面的機能を最大限に発揮させ、地球環境保護と生物多様性の保全に貢献する企業でありたいと考えています。そのために、私たちは、以下の基本的考え方に基づき社有林管理を行います。

  • 1.「森林経営計画」を着実に遂行し、将来にわたって森林資源の維持・増進を図るために、持続可能な社有林経営を行う体制を構築する。
  • 2.「北海道森林づくり基本計画」に基づき、社有林を「水源涵養林」、「山地災害防止林」、「生活環境保全林」、「木材等生産林」に区分した上で、それぞれの森林について目指す姿を描き、生物多様性に配慮しながら次に定めるような整備及び施業に取り組む。
    • ①水源涵養林
      良質な水の安定供給を確保する観点から、適切な保育・間伐を促進するとともに、下層植生や樹木の根を発達させ、伐採に伴って発生する裸地の縮小及び分散を図る施業に努める。
    • ②山地災害防止林
      災害に強い地域環境を形成する観点から、地形、地質等の条件を考慮して林床の裸地の縮小及び回避を図る施業に努める。
    • ③生活環境保全林
      地域の快適な生活環境を保全する観点から、風・騒音等の防備や大気浄化に有効な森林の構成及び維持を基本とする施業に努める。
    • ④木材等生産林
      木材等の林産物を持続的、安定的かつ効率的に供給する観点から、需要に応じた樹種、径級の林木を生育させるための適切な造林、保育及び間伐等を計画的に実施する。
      また、計画実施にあたっては、機械化による効率的な整備を推進するとともに、皆伐を実施した後は確実に再造林を行うことを通じて、森林資源の循環利用の定着化を徹底する。
  • 3.北海道が推進する「木育」に貢献するとともに、当社グループの山林事業について、ステークホルダーの皆様にご理解をいただけるように、森林や木材を観察し、ふれあうことのできる場を整備する。
  • 4.整備・施業にあたっては、労働者の労働安全衛生の確保に十分配慮するとともに、地域及び行政機関の活動との調和と環境の保護に努める。

以上

ニッタの森づくりについては、北海道ニッタ株式会社のサイトでご紹介しています。
是非北海道ニッタのサイトもご覧ください。

次世代に向けた取り組み
クリーンラーチ(エリートツリー)の採取園
クリーンラーチ(エリートツリー)の採取園

当社グループは、森林事業の一環として植林に必要な苗木の生産を行なっています。苗木生産農家の減少が著しい中、北海道地区における苗木の安定供給と効率的な苗木生産を行うことで地域に貢献して参ります。
また、次世代に向けた取り組みとしてクリーンラーチ(いわゆるエリートツリー)の採取園を造成しました。この樹木は一般の樹木より著しく成長が早く、建築材としての需要だけではなく、将来のCO2吸収源として期待が高まっています。
本格的な苗木の生産までにはまだ十数年を要しますが、地道な活動を続けて参ります。

地域とのコミュニケーション

社有林が存在する北海道では、森林と人との関係を主体的に考えることができる人材を育成しようと、北海道独自の「木育」という活動に力を入れていて、各方面で活動を行っています。そこで当社でも、地域との関係を強いものにする方策の一環としてその木育活動に協力し、独自の施策を実行し、ここ数年で行った具体的な活動は以下の通りです。
以下の活動の他、地域の方々に、森林に対して興味を持って貰えるような活動を、関係各方面と協力しながら数多く行っています。今後も引き続き積極的な活動を展開し、一人でも多くの地域の方々に、森林をメインとした自然環境に興味を持っていただけるよう、鋭意努力して参ります。

  • 植林・枝打ち研修場の協力
    植林・枝打ち研修場の協力
    製材や建築等に携わるボランティアによる植林や枝打ち研修に提供
  • アイヌ団体への樹皮提供
    アイヌ団体への樹皮提供
    先住民族であるアイヌの方々が祭祀で着用する衣装の原料として用いられる樹木の皮を提供
  • 若手林業就業者の勉強の場を提供
    若手林業就業者の勉強の場を提供
    北海道が主催する現地研修に社有林を提供
  • 北海道の研究協力
    北海道の研究協力
    北海道が研究する新しい技術の試験研究地として社有林を提供
  • 軽労化試験の協力
    軽労化試験の協力
    軽労化対策として各種企業・団体等が取り組む機械化の現地試験用に社有地を提供
  • 地元小学校での社会科授業
    地元小学校での社会科授業
    社会科授業の一環として、森林管理教育の実施

生物多様性に配慮した環境づくりへの取り組み

社有林における生物多様性調査の実施

2021年度より、広葉樹林2地点において生物多様性調査を実施しています。
下記の写真はその一部です。

調査方法

春・夏・秋の季節ごとに地元コンサルによる年3回の現地踏査を行い、発見した生息種をメモするとともに写真撮影。鳥類に関しては、設定した定点に一定時間とどまり、目視や鳴き声で出現種を記録する定点法で実施。動物は、痕跡法とセンサーカメラによる撮影にて調査しました。結果については1年ごとにリスト化します。

調査期間

調査対象のターゲットを変えながら最大2023年まで調査を実施する予定です。

調査対象:植物 (2021年度実施)

環境省レッドリストや北海道レッドリストにより指定されている貴重種13科18種類が確認されました。

調査で確認された貴重種や大径木(一部)
調査対象:動物・鳥類(2022年度実施)

2022年度は動物・鳥類調査を実施し、動物は2科2種、鳥類は3科6種の貴重種が生息している事が確認されました。鳥類の1種である「クマゲラ」は国指定の天然記念物です。

動物:調査で確認された貴重種を含めた確認種(一部)
鳥類:調査で確認された貴重種を含めた確認種(一部)