サステナビリティ
社外役員インタビュー

社外役員インタビュー

企業価値向上に向けた人的資本・ダイバーシティについて

NITTAグループの中長期経営計画「SHIFT2030」の第1フェーズの3年目を迎え、
中長期経営計画の達成および持続的な企業価値向上のために求められる人的資本の強化、そしてダイバーシティの
推進について、社外取締役の豊島ひろ江様、池田剛久様、社外監査役の松浦一悦様にお話を伺いました。

左:社外監査役 松浦 一悦様 中央:社外取締役 池田 剛久様 右:社外取締役 豊島 ひろ江様

「中長期経営計画「SHIFT2030」の進捗について

池田)私は中長期経営計画「SHIFT2030」がスタートした年である2021年6月に役員に就任しました。取締役会等での議論を通じて、計画に基づいた投資や事業の進捗について理解を深めています。就任した年度には過去最高益を記録し、さらに昨年度はそれを上回る売上を達成する等、事業計画が順調に進捗していると感じています。但し、3年間に及ぶコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻、資源高騰等、経営環境が大きく変化したことで、部門別に見ていくと厳しい状況も見受けられます。2030年まであと7年ですが、社会の変化に則して、中長期経営計画についても見直すタイミングに来ていると考えられます。

豊島)ニッタグループの部門ごとの目標や進捗については、数字的には順調に来ていると認識しています。この厳しい経営環境の中、結果を出していることは評価できますが、一方で、売上や利益の実態、中身はどうなのか。あらためて検証していく必要があります。また、新規事業についても精力的に取り組み、可能性も見えはじめているように感じます。そうはいっても、まだ地ならしや種まきの段階であり、成果を生むのはこれからだと思いますので、今後さらに取り組みを強化され大きな成長へとつなげていかれることを期待しています。

松浦)私は社外監査役に就任して約1年と日が浅いですが、中長期経営計画の進捗については、取締役会や監査役会での議論を通じて理解を深めています。それ以上に私が強く感心させられるのは、会社運営が非常に効率的であるということ。私が疑問を感じて、質問をすると、迅速かつ丁寧に対応され、その結果、問題が効果的に解決されていると感じます。また、奈良工場とニッタ・デュポンの京都工場を見学した際に、社員の皆さんの仕事ぶりを拝見して、その真剣さや熱意を強く感じました。現場の雰囲気から、ニッタグループがとても良い会社であることが分かりました。グループが掲げる経営計画や事業の方向性も現場にしっかりと浸透することで、順調に進んでいくと感じます。

ニッタグループのダイバーシティ推進に求められるもの

池田)ダイバーシティに関する取り組みとしては、多くの日本企業が欧米から後れをとっています。ニッタグループも苦心されているのではないでしょうか。ひと言でダイバーシティと言ってもその意味は広く、男女の問題だけではありません。海外人材やLGBTも非常に重要な問題です。ニッタグループでのダイバーシティ推進は、現段階ではまだ「女性の活躍」に焦点が当てられている状況かと思います。ニッタグループは海外に多くの拠点があり、外国籍の人材も豊富です。グローバル企業として成長を続けていくためには、例えば、海外拠点の責任者やリーダーを国内事業の責任者として登用する等、国内外の人材の流動化が大きな鍵となると思います。また、女性役員や幹部人材に関しては、社内で育てるだけでなく、社外から招聘することを検討しても良いのではと考えます。

豊島)ニッタグループでは「女性の活躍」への取り組みが積極的な印象です。日本企業、特に製造業では、女性役員・幹部が少ない状況です。しかしながら、ニッタグループは、この課題に真摯に向き合い、しっかりと取り組む姿勢が見受けられます。私からも「女性社員との意見交換会」の開催を提言させていただきましたが、制度改革を進め、女性管理職数も徐々に増加されています。女性が活躍できる職場環境づくりが進んできており、今後さらに発展していくと期待しています。
但し、社会が求めるダイバーシティ推進のレベルにはまだ達していませんので今後も多角度から提言していきたいと考えています。次のステップとしては、海外人材の活用です。実際に、日本の中でも海外売上比率が高い企業は、執行役に外国人が多く採用されています。ニッタグループとしても海外人材を経営に参画させていくことが考えられます。

松浦)ダイバーシティは日本企業にとって、まだ新しく難しいテーマだと思います。「多様性」と言っても理解が難しく、価値観や文化、生活スタイルの異なる人物を社内にどう受け入れるかが課題となります。ニッタグループの行動憲章には、「互いの尊重と働きやすい職場環境」とあり、「私たちは、社員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、心身の健康と安全に配慮した働きやすい職場環境づくりに努めます。」と記載されています。この行動憲章は、現在のSDGsやESGとして求められる要素と、会社の理念を上手くマッチさせた素晴らしい内容だと思います。そこには、ニッタグループの社員が共通して持つべき、価値観と倫理観がしっかりと明文化されています。この行動憲章に基づいてサステナビリティ推進活動を実行されていますので、是非この活動を継続し、またダイバーシティ推進に取り組んでいただきたいと考えます。

豊島)日本企業の多くはダイバーシティに取り組むことのメリットを実感できていないと思います。例えば、女性役員がどのように役に立つのか。女性幹部の割合を拡大したら事業がどう成長するのか。女性である私が社外取締役の立場を与えられていることはとても意義深く、重責を感じています。ダイバーシティ推進に向け、私自身が身をもって示していきたいと感じています。

池田)日本社会全体がダイバーシティとは何か?なぜ取り組む必要があるのか?当初はよく分からなかったと思います。女性が経営層にいることや現場の最前線にいることで、男性にはない視点や感性が活かされます。また海外人材をはじめ、違う価値観や文化を持つ人材が社内にいることで、周りの社員も視野が広がり、多彩な感覚で仕事を捉えるようになってきます。そういうメリットを理解して、多様性のある人材を登用していくことが重要と考えます。

人的資本の強化に向けて取り組むべきこと

松浦)社員のスキルや知識を向上させるためには、教育や研修プログラムを充実させることが重要であることは言うまでもありません。ニッタグループは人材育成に関しては、テーマや役職別等の目的ごとに研修が制度化されており、社員にとってはとても恵まれていると感じます。また、「NS活動」や「自工程完結」等を推進している点は、ニッタグループの特長だと評価しています。工場見学の際に感じた「社員の熱意」は、これらの活動の成果の顕れなのかもしれません。

豊島)充実した教育体制がニッタグループの人的資本の育成に効果を上げていると感じます。また、いわゆる教育制度以外の取り組みも人材育成に効果を上げているように思います。例えば、新規事業が好例ですが、経営トップ主導で推進する新規事業プロジェクトとして社内から希望者を募り、社外専門家を活用して、新事業の探索に関する研修や勉強会を行う等、社員のやりがいにつながっていると思います。社員の志気向上とともに会社の新しい事業の芽が生まれれば会社と社員がともに成長できるWin-Winの関係性構築につながるものと思います。また「社長賞」もとても良い評価制度だと思います。メーカーの社員として製品や技術、サービスの開発に携わり、日々の業務の中でその成果が評価されることは、大きなやりがいにつながることでしょう。仕事に対して前向きになり、楽しむことができる、そんな職場環境が構築されているとの印象を受けています。

池田)確かに、長い歴史を有する会社だけあって、ニッタグループは、教育制度や働きがいのある職場環境づくりがよくできていると思います。現在人的資本の強化・育成が注目されており、多くの日本企業が模索しています。海外企業は人材を教育し育てるという文化はありません。必要なスキルを保有する人材を外部から採用・スカウトするのが一般的です。日本の文化にあった人材育成制度を今後も強化・充実していっていただきたいと思います。

ESG経営やSDGsへの貢献について推進すべき課題とは

池田)ESGやSDGsと言っても範囲が広く、取り組むべきことは非常に多くあります。そんな中、ニッタグループでは他社と比べても遜色なく、しっかりと取り組めていると感じます。私が常々感じているのは、当社が保有する北海道の広大な森林を企業アピールのために積極的に活用すべきということ。約6,700haもある森林は、日本の民間企業が所有する森林の中でもトップ10に入る規模です。それだけで、CO2削減に大きく社会貢献しています。そこからさらに踏み込んで、森林の存在やその価値を対外的に知らしめ、また新たなビジネスに活用していくために、専門家の力を借りることも大事ではないかと思います。規模も大きいため、環境課題に対して類似するような取り組みをしている企業とアライアンスをすることもひとつの案です。そうして、森林を社会にアピールする仕組みづくりが必要です。私も現場を見学させていただいて何らかの提言ができればと考えています。

松浦)私が勤務する松山大学では、毎年、教員2名と事務スタッフ2名の計4名が北海道の森林や牧場を研修で訪れています。とても貴重な経験をさせていただいています。また「サステナビリティ推進委員会」でも報告を受けましたが、ニッタグループは環境投資や再生エネルギーの活用等を通じて、脱炭素の問題に正面から取り組まれていると思います。今後もこうした取り組みを継続していただきたいです。
気候変動をはじめとする環境対策はとても重要な社会課題ですから、重点施策として取り組み、その成果を社外に発信することで企業価値を高めることができます。ヨーロッパでは「欧州グリーン・ディール」として、EU全体で2050年に温室効果ガス排出が実質ゼロとなる「気候中立」を達成するという目標を掲げ、相当な予算を充てています。
サステナブルな観点で、事業がどのように環境保全に貢献できるか。それらの事業に収益性を持たせ、雇用や教育につなげる等、世界の多くの企業が取り組みをはじめています。ニッタグループが地球環境問題に貢献していることは、もっと対外的に発信すべきと思います。

豊島)ニッタの創業当時を振り返れば、革をなめすタンニンを採取するために森林資源を活用し、それと同時に森を育て、さらに木材を他の事業に活用する等、自然環境を守りながら事業を持続的に成長させ続けてきたという歴史があると伺いました。ニッタグループの事業は、創業当時から未来につながっているんです。原点に返ることが、未来につながる。創業者の理念や考えを引き継いでいくことで、未来への成長がさらに明確に示されていくのではないでしょうか。

SDGs
重点課題
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8 働きがいも経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
12 つくる責任つかう責任
15 陸の豊かさも守ろう

ニッタグループの持続的な価値向上への期待

池田)私は金融会社の出身のため、これまで多くの企業を数字で見てきました。成長する会社や、また伸びない会社というのは、それが必ず数字に表れてきます。会社経営やM&A等、企業が示すさまざまな指標を見れば、リスクを予見することができます。
新規事業を1から立ち上げることは困難ですが、アライアンスすることでダイナミックかつスピーディーに新しい事業を推進できます。その際にもさまざまな角度からアドバイスできればと考えます。ニッタグループは創業138年という長い歴史を持つ非常に希有な存在です。これまで蓄積された資産はとても大きく、それを150年、200年へとつなげていくためには、新しいことへの挑戦は不可欠です。是非、ニッタグループの未来の成長に貢献していきたいと考えます。

豊島)弁護士としての専門分野で期待に応えることはもちろん、さまざまな経営判断についてもアドバイスをしていきたいと考えます。海外に事業展開しているニッタグループでは国際取引は必須です。契約や紛争等さまざまな問題を解決するため、海外の考え方や文化等の知見を共有できればと思います。海外の拠点任せとせず、臆することなく外国人材と交流することも、事業の更なる成長やリスク管理のために必要な取り組みです。それら海外事業に関する取り組みについても、しっかりと助言していきたいと思います。

松浦)私の専門分野はヨーロッパを中心とした国際経済です。企業が永続的に成長する上では、国際環境に適応することが重要で、地政学的な視点からも、ニッタグループの事業やガバナンス等の面で貢献していきたいと思います。